水筒に塩素系漂白剤(ハイター)がダメな理由。ステンレスボトルに実際に使った感想など

             
  • 2023.12.17 / 更新:2024.05.15
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水筒に塩素系漂白剤(ハイター)がダメな理由。ステンレスボトルに実際に使った感想など

ほとんどの水筒はボトル内部の底に手が届くことがなく、ゴシゴシと底を洗うことができません。そのためボトル内部をきれいにするために漂白剤を使うことが多いです。漂白剤には塩素系と酸素系があり、酸素系はステンレスの水筒に使ことができ、塩素系はできないといったことが言われています。
塩素系漂白剤の代表にはハイター系があり、その他にもブリーチなど種類が多いですが、塩素系の漂白剤がステンレスで使えない理由や、使える塩素系漂白剤を見ていきたいと思います。

塩素系の漂白剤は水筒に仕えるか

水筒にはさまざまな素材で作られたものがありますが、代表的な所ではステンレスとプラスチックになります。それぞれを見ていきたいと思いますが、まずはステンレスに関しては、象印のホームページに塩素系漂白剤は使えないといったことが明言されています。

塩素系漂白剤を使ってのお手入れはしないでください。
塩素系漂白剤はサビ(本体内側・中せんスプリング)や、穴あき(本体内側)など故障の原因になります。

ステンレスボトルに漂白剤を使ってお手入れしてもいいですか?

まず、漂白剤には塩素系の他に酸素系があります。酸素系漂白剤は過酸化水素や過炭酸ナトリウムを主成分として弱アルカリ性。酸素の泡の力で消臭、除菌を行いますが、塩素系漂白剤は次亜塩素酸ナトリウム主成分とし、強アルカリ性で強い漂白作用や消臭・除菌を行うことができます。
そのため塩素系は強力であり、水筒でも酸素系漂白剤を使うよりも塩素系の漂白剤を使うことでよりきれいにすることができます。

しかし、上記の引用のように象印によれば、塩素系の漂白剤を使うことで錆や穴あきの原因となるために使わない方が良いようです。
大抵のステンレスボトルの説明書には、これと同じように塩素系の漂白剤は使わないといったことが書かれていますが、そもそもステンレスは鉄にクロムやニッケルを混ぜて錆びにくい金属として知られているように、英語の「Stainless(ステインレス)」とは錆びないといった意味になります。
錆びにくい特徴があるために飲料を入れる水筒に採用されていますが、それでも塩素系の漂白剤を使えば錆びる可能性がある、というのはどういったことなのでしょうか。

塩素系漂白剤がステンレス水筒に使えない理由

まず使えない理由として塩素があること、また、腐食すると水筒にどういった影響があり使えなくなるのかを見てみたいと思います。

塩素が含まれている

塩素系漂白剤の主成分は次亜塩素酸ナトリウムになります。この次亜塩素酸ナトリウムは名前からも分かるように塩素が含まれます。塩はこの塩素とナトリウムの化合物です。
ステンレスは塩に弱い金属なのですが、理由としては塩分は吸湿性が高く大気中の水分を吸うためです。ボトルの中に塩分があればその部分に水分を集めてしまい、空気中の酸素と反応し鉄イオンが溶けだし、酸素と結合して錆に至るといったことになります。
ステンレス表面には腐食から守るために不動態皮膜があり、これはステンレスの持つクロムが空気中の酸素や水分と化合することで形成されているものですが、これが塩素の成分により侵されてしまうと錆の原因となります。

錆びると穴が開く

錆ができれば腐食が起こっていることになり、周辺はボロボロとなり象印が言うように最終的には穴が開いてしまうといったことになってしまいます。錆で腐食されたステンレスが剥がれて飲料に混ざり、それを飲んでしまえば体に毒なのは当然ですね。
ちなみにステンレスの水筒はほぼ2重壁となっています。2重にしているのはボトル内部の温度が外に逃げないように、その2重間を真空の空間を作っているためです。穴が開いてしまえば真空空間が失われ、ステンレスでありながらも保冷保温効力のないただの容器になってしまいますので、錆びないように塩素系漂白剤は使わない方が良いといったことになります。

このようにステンレスの水筒は錆びるといったことで塩素系の漂白剤は使えないのですが、プラスチックは錆びるといったことがないボトルなので、腐食で壊れるといった理由にたいしては問題なく、当然使うことができます

ただ、ハイターには通常のハイター、キッチンハイター、キッチン泡ハイターの種類があり、中にはステンレスにも使えるものもあるようです。

ステンレスの水筒に使える塩素系漂白剤

前述のようにハイターには種類がありますが、その中の「キッチン泡ハイター」はスプレーで手軽に除菌・殺菌が行える塩素系の漂白剤で、液状のハイターを泡状にした製品です。従来のハイターは水で薄めて使いますが、泡ハイターではそのままシュッと吹きかけることができるので手軽さがあります。
この泡スプレータイプのハイターはステンレスで使えるということをメーカーで明言されています。

Q.「キッチン泡ハイター」はステンレスの水筒の除菌に使えるの?

A.

お使いいただけます。「キッチン泡ハイター」をスプレーしたら、2分ほどおいてから十分にすすいでください。シリコン製の水筒ゴムパッキンにもお使いいただけます。2分ほどおいてから十分にすすいでください。

花王 | 製品Q&A | 【使用可否】「キッチン泡ハイター」はステンレスの水筒の除菌に使えるの?

ハイターには従来のハイターとキッチンハイターの2種類があります。キッチンハイターにはハイターにはない洗浄成分が加えられており、そのキッチンハイターをスプレー状にして薄めずに使えるようにしたのが泡ハイターです。
なので、スプレーであってもキッチンハイターであり、塩素系の漂白剤としては同じのように思いますが、泡ハイターは薄めずに使えることで除菌や漂白を2分で行え、ステンレスに負担を掛けることがないために、ステンレスの水筒にも使えるといった内容になります。
キッチンで使えるタイプなのでシンクなどにも使えると思われますが、長い時間つけ置きしなければならない液状のキッチンハイターはこういったシンクなどのステンレスに使うことには向むいておらず、泡ハイターが進められています。長時間つけなくても良い点でステンレスに使えるといった理由のようです。

キッチンハイターと泡ハイターの違い

もう少しキッチンハイターとキッチン泡ハイターの違いを見ていきたいと思います。

そもそもキッチンハイターは名前の通り台所用品のウイルス除去・漂白・消臭を行う漂白剤です。通常のキッチンハイターと泡ハイターには液状か泡かの違いがあるので、使用方法に違いがあります。液状の場合はキッチンにあるまな板やふきんなどをつけ置きして洗い、泡状の場合は包丁、ゴミ箱などに吹きかけて洗うといった違いになります。成分もほとんど違いはありません。

キッチンハイターの成分

  • 次亜塩素酸ナトリウム
  • 水酸化ナトリウム
  • アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム

キッチン泡ハイターの成分

  • 次亜塩素酸ナトリウム
  • 水酸化ナトリウム
  • アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム
  • 脂肪酸ナトリウム

キッチン泡ハイターには脂肪酸ナトリウムが含まれていますが、これは石鹸そのものの成分名ですので、やはり二つの成分には大きな違いはありませんね。また、使い方に関しては時間に違いがあります。

キッチンハイターの使い方

つけ置き。漂白は30分、除菌は2分

キッチン泡ハイターの使い方

吹きかける。漂白は約5分、除菌は約30秒

キッチンハイターの場合は薄めて使う必要があり、原液のまま使うと塩素の匂いがきつくなるといったことがあるようです。泡ハイターはそのまま吹きかけて使うことを見ると、やはり二つの違いは泡状が液状かだけになっているだけのように思います。

自分の考えでは、ステンレス水筒に塩素系漂白剤を使う問題点として、塩素がボトル内に残りそれが水を吸収して腐食するといったことなのですが、2分で完了するから使えるというのでは少し怖いような気がします。

泡ハイターを使ってみた。

洗浄力を確かめるために汚れたボトルをキッチン泡ハイターを使って洗ってみたいと思います。

こちらのボトルはお茶を入れて、放置してわざと内部に汚れるようにしたものです。内部はかなり汚れているのが分かると思います。水だけでは落とせないように、何日か放置してしっかりとこびりつかせてみました。

汚れたボトルの内部にキッチン泡ハイターをかけて3分経過させました。

その後、水ですすぐと内部がとてもきれいになっていますので、強い洗浄力があることが分かります。少ない量の泡ハイターでこれだけきれいになるのはすごいですね。ただ洗浄後のボトル内の匂いがおそらく塩素だと思いますが、匂いが残ってしまっています。
食器洗い洗浄剤で洗った後は匂いもなくなったので、泡ハイターを使った後は水ですすぐだけではなく、しっかりと内部を洗浄することが大事になってきます。というのも水酸化ナトリウムは人体に有害な部分もあるからです。

ハイターは水筒に使えるのか

キッチンハイターとキッチン泡ハイターの違いで見たように、どちらのハイターの成分中には水酸化ナトリウムが含まれています。この水酸化ナトリウムは肺や皮膚、目に入ると危険といったこともあるようです。

呼吸器障害による肺機能低下、呼吸困難。 蛋白質を 分解する作用があり、付着したものを完全に除かない限り、次第に組 織の深部に及ぶおそれがある。 特に、眼に入ると視力の低下や失明す ることがある。 希薄溶液でも繰り返し接触していると、皮膚表面の 種々の組織を侵し、直接刺激性の皮膚炎又は慢性湿疹の症状を呈す る。

苛 性 ソ ー ダ ( 液 体 )

こういった事実があると水筒は飲料を入れて飲む容器なので、体内に入ってしまう可能性が少しでもあるのでやはり怖い部分もあるかもしれません。

キッチンハイターを誤って飲んだ場合は、すぐに応急処置を行ってください。主成分の次亜塩素酸ナトリウムが口やのどの粘膜を荒し、胃液(酸性)と反応して、体内で有害な塩素ガスが発生する危険があります

花王 | 製品Q&A | 【塩素系製品】塩素系の漂白剤・カビ取り剤などを、誤飲した時の対処について教えて?

しっかりと洗えば問題はないと思いますが、人体に影響にあるものをやはり水筒内部を洗うのは怖いですね。また、水筒自体にも塩素系の漂白剤は錆の原因にもなります。
塩素系を使わなくても酸素系の漂白剤もありますし、どちらかというと使わない方が良いと言えるのかもしれません。

長くなったので事実のみをまとめてみます。

水筒メーカーは塩素系漂白剤のハイターなどはステンレス水筒には使えないと言っている。

理由としては塩素系漂白剤に含まれる塩素が大気中の水分を吸うために、ステンレスボトル内部の錆に繋がるため。

ハイターをリリースしている花王は、塩素系漂白剤でもキッチンハイターは使えないが、キッチン泡ハイターならステンレスに負担をかけない理由から水筒に使えると言っている。

しかしキッチンハイターもキッチン泡ハイターも含まれる成分はほぼ同じ。薄まっているかいないか程度の差。

その成分の中には人体に影響する水酸化ナトリウム・次亜塩素酸ナトリウムが含まれる

結局はどんな塩素系漂白剤でも塩成分がボトル内に残る可能性があり、それが錆の原因になり、また、ハイターには水酸化ナトリウム・次亜塩素酸ナトリウムなどの人体に良くない成分も含まれているため、飲料を入れる水筒を洗うには適していない、という結論です。

まとめ

以上です。ハイターなどの塩素系漂白剤を見てきましたがいかがでしたでしょうか。塩素成分があるためにステンレス水筒には使えない漂白剤ではありますが、その強力な漂白力や殺菌力は水筒でも使いたい洗浄剤ではあります。
象印は使えないと言い、花王はキッチン泡ハイターなら使える、といったことを言われていますが、万一を考えて長くボトルを愛用していきたいなら使わないのも良いのではないかと思いました。酸素系漂白剤がありますので、同じつけ洗いするなら使っても大丈夫な方を使った方がよいですよね。ただ、キッチン泡ハイターは2分で完了させることができるので、時間がない方には仕方なく使うのには良いのかもしれません。
参考にしていただけたらと思います。

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