味噌汁を水筒に入れても大丈夫か?

             
  • 2023.10.12 / 更新:2024.03.12
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味噌汁を水筒に入れても大丈夫か?

日本人には馴染の深い味噌汁ですが、近年では海外でも味噌スープとして食べる人も増えているようです。温かいご飯のお供としては最適なスープだと思いますし、冷えたお弁当にも温かい味噌汁があると、よりお弁当がよりおいしくなりますね。
やはり、米を食べる際には味噌汁は欲しくなることも多く、また、市販されている粉末のものでは物足りないと思う方も多いのか、水筒に入れて持ち運びたいと考える方も多いようです。
ここでは味噌汁は水筒に入れても大丈夫なのか、どういった水筒にいれるべきなのかを見ていきたいと思います。

味噌汁は水筒に入れて持ち運べるか

ステンレス水筒の説明書には、味噌汁はいれてはいけないということが多くで記されていますので、結論としてはステンレスの水筒には味噌汁は入れるべきではないといったことになります。ただ、すべてのステンレス水筒がダメであるわけではないです。
味噌汁がどういったもので、どのような理由でダメなのかが分かれば、より水筒に入れられないことへの理解が深まり、また、どういったステンレスやプラスチックの水筒へは入れることができるのかが分かると思います。

まずは味噌汁とはどういった飲み物なのかから見ていきたいと思います。

味噌汁の成分

わかめの味噌汁

味噌汁は味噌とダシ汁が重ねられた日本を代表するスープの一つです。様々な具が入って種類も豊富。代表的な所では豆腐、わかめ、しじみ、ネギ、なめこなどがあります。ここでは具は抜きにして、まずは汁の成分として味噌を見ていきます。

味噌は大豆等の穀物から麹菌を用い発酵させて作られた日本の発酵調味料です。麹の種類や発酵工程の時間を変えることにより、赤や白といった色味の違う味噌を生みそれが味の違いにつながっています

代表的な日本料理(みそ汁)

味噌は古来からある日本独特な発酵調味料です。特徴としては発酵させていることで、この発酵により微生物がビタミン類などのさまざまな栄養成分を作り出し、味噌は医者いらずといわれるほど良質のたんぱく質や様々な栄養素を豊富に含んだ調味料となります。
その味噌の作り方は、良く洗った大豆に水を吸収させ煮、潰して樽に入れて塩を熟成させて作りますが、その際に塩が重要な役割を果たします。

みそ作りに必要な塩は、発酵に必要な微生物を増やしたり、有害雑菌(枯草菌など)を抑制する働きをしています。

みその塩分について

塩の影響でより良い微生物を増やして、余計なものをなくしてできた味噌に、出し汁と具をいれて味噌汁ができるわけです。この味噌汁が水筒に入れて持ち歩くことができないのはどういった理由があるのか、味噌の成分や特徴などから見ていきたいと思います。

味噌汁が水筒に入れることができない2つの理由

味噌汁が水筒に向いていない理由に、塩と腐りやすいといった二つの理由があります。まずは上記で見てきたように、味噌には塩が含まれている点を見てみます。

塩分は水筒にNG?

塩分も残さない強力なコーティングのボトル内部

水筒に味噌汁を入れてはいけない理由の一つとして、味噌が塩分を含んでいるためということがあります。

一般的な水筒は金属性の素材でできており、そこに塩分を含むスポーツドリンクを入れると、サビの原因になる恐れがあります。

水筒にスポーツドリンクはNG?正しいお手入れの方法と象印のおすすめ水筒

象印のホームページでも言われている通り、水筒はステンレス素材のものが多く、ステンレスは塩により錆の原因になります
そもそも錆とは金属が酸化することによりできる酸化物ですが、空気中に含む酸素と水分が金属と化学反応することで酸化が発生します。さらに塩や硫黄などを含む排ガス、埃や汚れなどにより促進されるのですが、それらは電解質であるためにです。
経口補水液やスポーツドリンクなどで、電解質という言葉が使われていますが、塩は電解質であるために錆を促進してしまうようです。
ボトル内部が錆びることでは、特に人体に影響はないようですが、錆が原因でボトルに穴が開き、真空2重構造の真空部分の効力がなくなるといったことで壊れる可能性があります。

錆は金属の持つ電子が水や塩分などの電解質に奪われることから発生します。

塩は錆を進行させるのでしょうか? – 防錆屋 エヌシー商会

酸化とは電子を失うことを言うようですが、簡単に言うと塩は吸収性が高く、大気の水分を吸収してしまう特徴があり、その水分が錆を促進してしまう原因になるようです。

塩が錆を招き、ステンレス水筒を破損させる可能性があることが分かりましたが、さらに味噌が腐りやすいために水筒には向いていないといった面も見ていきます。

腐りやすい

味噌は発酵食品であることがあり、常温で保存できるほど腐りにくい調味料です。しかし、味噌自体は腐りにくくても、汁になると水分を含んだ分腐りやすくなるようです。

調理して保存することで腐敗菌が増殖することがあり、これが腐る原因です。

流通している味噌の多くは、殺菌してから販売するため、発酵菌も死んでしまうことがあります。発酵菌が少なくなると、腐敗菌が増殖しやすくなるため、腐りやすくなるでしょう。

味噌汁が腐る原因や見分け方は?保存方法や長持ちさせるポイントも

味噌汁が腐りやすいのか、腐りにくいのかさまざまな説があるようですが、味噌のままであれば塩を入れているために、塩が水分を吸収してくれているので余計な菌の繁殖しにくく、腐りにくくなりますが、もともと味噌の原料は大豆で、たんぱく質も豊富な食材です。タンパク質は菌が繁殖しやすく、腐敗が早い栄養素であり、微生物が繁殖するには水分も不可欠となると、味噌汁は微生物が繁殖しやすいと言えるのかもしれません。
また、味噌汁には多くの具材がありますが、一般的によく使われる味噌汁の具材の中にも腐りやすい食材があります。

  • 豆腐
  • あさり
  • 油揚げ
  • なめこ

上記腐りやすい傾向があり、味噌だけでなく具材に関しても腐りやすさを気を付けなくてはなりませんね。

味噌は錆の原因になる塩分が含まれ、さらに水分とタンパク質を含んで腐りやすくなっている味噌汁。水筒には入れることができない条件が揃っているスープのように思えますが、それでも対応している水筒もあり、それはどういった特徴があるものなのかを見ていきます。

味噌汁を入れることができる水筒の条件

ネギの味噌汁

塩分に対応

まず、塩分に関してですが、ほとんどのステンレス水筒は塩分に弱いです。ただ、中にはフッ素やセラミックで内部をコーティングされた水筒ならば、水や汚れ、塩分も弾いてくれますので、味噌汁も入れることが可能。
具体的には塩分が含まれているスポーツドリンクが対応の水筒であれば、味噌汁も大丈夫なはずです。ただ、使い終わった後にしっかりと洗わなかったり、逆にコーティングが剝がれるほど目の粗いたわしなどで洗いすぎてしまうと、錆につながってしまうので気を付けなくてはなりません。ちなみにプラスチックでは塩分の入った飲料でも、錆びることはないので問題はありません。

洗いやすい

使い終わったらしっかりと洗うことは何の飲料を入れていても同じだと思いますが、特に塩分のある味噌汁では、内部に残してしまうと錆てしまうので特に気を付けなければなりません。
そのため、水筒は洗いやすいものを選びたいですが、1Lあるような大きな容量のボトルならば、口径も広く底まで手が届くような洗いやすいタイプも多いのですが、味噌汁を入れるような350mlなどの水筒では、手やスポンジを底まで届かせられるような大きな口径は少ないです。
なので、撥水性の高さや食洗機に対応していることも重要になってくると思います。

腐りにくい

細菌の多くは10℃以下で増殖のスピードは遅れ、-15℃が増殖しなくなります。しかし、常温では驚くほど速くに菌が増殖するようです。

常温(30℃)で放置した味噌汁は6時間で菌が150倍に増殖!山口憲太先生によると、6時間以降の味噌汁は食あたり・食中毒の原因になるので飲まない方が良い

林修の今でしょ!講座 – テレビ朝日

ただ、150倍というのはオーバーかもしれませんが、菌が増殖しやすい35 ~ 40℃の温度だとかなり増殖し、その温度内ならば150倍に近い数値になるのかもしれません。
いずれにしろ、この温度に近づけないようにしたい所で、前日に作る場合は冷蔵庫でしっかりと冷やし、朝作る場合は温かいまま保温効力の高い水筒に入れるのが良いと思います。また、だいたいの水筒の保温保冷効力が続く、6時間以内に食べるしまうことが重要です。

スープジャーに関して

スープジャーからスプーンで食べる

水筒と似たスープジャーは温かいスープを入れるために作られた容器で、水筒と同じように真空2重構造で冷めにくい特徴があります。水筒のようにリリースされている数が多くはなく、はっきりと塩分に対応しているタイプはないようですが、入れてはいけないと明言はされていないようです。

保温容器がステンレスの場合、みそ汁・スープ・スポーツ飲料などの塩分により、サビたり、保温・保冷性能が低下する原因になるため、長時間の保温・保冷は避け、使用した後はすぐに洗浄してください。 

スープジャーに入れてはいけないものは?使用する上でのポイントを解説!

象印も長時間の保存はせずに、使用後にすぐに洗えば味噌汁も入れても良いということを明言されています。また、スープジャーの特に良い所は広口で、ボトル底までしっかりと手で洗えるといったことがあり、使い終わった後に手でしっかりと洗えるといった点では水筒よりも優れている点です。
使い方のポイントとして、温かいスープを入れる場合は熱湯を使い事前にジャーを温めると冷めにくいというようですので、これは水筒でも同じようにできると思います。

味噌汁に適した水筒と使い方をまとめます、

  • プラスチックの水筒は温度キープできなく、味噌汁が腐る可能性が高いので使うべきでない
  • 塩分に対応しているコーティングが施されているものを使う
  • 温度を長時間できる真空2重構造のステンレスを使う
  • 使い終わった後に塩をしっかりと落とせる洗いやすいや食洗機に対応しているものを使う
  • 味噌汁が35~40度にならないように、しっかり冷やすか温かいまま持ち運ぶ
  • 6時間以内に食べてしまう
  • 温かい味噌汁を入れる場合は、事前に容器を熱湯で温めるとより冷めにくい

では、これらの要件を満たし、実際に味噌汁を持ち運ぶのに適した水筒どういったものになるのでしょうか。

味噌汁を持ち運ぶためのおすすめの水筒4選

味噌汁を持ち運ぶには塩分に対応、保冷保温効力の高いことが必要になり、その条件にあったものを紹介していこうと思いますが、スープジャーも含まれます。
また、水筒から別のお椀などに移して飲むことを想定しており、すべてがコップが付いているものとはなっていませんのでご了承いただきたいと思います。

京セラ セラミックマグボトル MB-12S PK

京セラのセラミックボトル

京セラのセラミックマグボトルは、内部にセラミック塗膜加工を施した水筒です。セラミックコーティングは強力な撥水性があるため、汚れが付着せずに塩分入りの水筒なども問題なくいれることができます。また、セラミック加工は金属臭がしないのも特徴で、コーヒーなど香りを楽しむ楽しむ飲料であっても匂いや味が長時間続きますので、味噌汁も金属臭がしない、風味も落ちないでおいしさも長続きすると思います。
もちろん撥水性の高さは汚れを弾いてくれるので、洗いやすさにもつながります。味噌汁を入れた後の洗浄もしっかりとでき、水筒に入れる場合はこちらの京セラがいちばんかもしれません。

容量:350ml / 500ml

サーモス コップ付きステンレススリムボトル 「FFM」

サーモスのコップ付きボトル「FFM」

サーモスのFFMはコップ付きの水筒です。コップ付きの水筒は少ないのですが、中でもこちらはサーモスの水筒だけあって、軽量スリム、注ぎやすさなど他のコップ付きにはない使いやすさがあります。もちろんスポーツドリンクにも対応しており、塩分も問題はないと思われますので、味噌汁も入れることができると思います。
特にコップ付きなので、コップに味噌汁を入れて飲むこともできますが、少し小さいかもしれません。サーモスにはアウトドアシリーズにもコップ付きの水筒があり、コップも大きく飲みやすそうですが、スポーツドリンクには対応していないため、こちらのFFMをピックアップしています。

容量:350ml / 500ml
仕様:コップ付き

ZOJIRUSHI ステンレス保温スープジャー ランチジャー 「 SW-KA」

象印のスープジャー「SW-KA」

象印のステンレススープジャーは、他には見られないシームレスせんを採用しています。水筒のシームレスせんは見られるようになってきましたが、スープジャーではこちらだけかと思われます。パッキンとせんが一つになり、パーツが少なくなり、また付け忘れやズレなどによる漏れることがなくなり、とても便利な仕様となっています。
また、3D断熱カプセル構造により、今までの象印にはないほどの保温効力を有しており、長時間熱いままで保存できます。口径も7cmと広く、手の小さい方なら400mlでもスポンジで底まで洗うことができ、味噌汁もきれいに洗浄することができると思います。

容量:300ml / 400ml / 520ml

アトラス 超保温ボトル テンピーク

アトラスの超保温ボトルの「テンピーク」。魔法瓶の構造となる真空層の他に、銅メッキ・銅ホイールなどを間んで5層の断熱構造を持ち、それにより外部の温度の影響を受けにくく保温効力の圧倒的に高い水筒となっています。山頂で熱々のカップラーメンを食べることができるように開発されたもので、これなら味噌汁も冷めにくく、菌の増殖しやすい温度状態も他の水筒よりは防げると思います。
内部は内瓶クリーンミラー加工でニオイ、汚れが付きにくく、さらに質の良いSUS316ステンレス鋼を採用しているために、スポーツドリンクを入れても大丈夫な錆などにも強い構造となっています。こちらもコップ付きとなります。

容量:530ml / 750ml / 900ml / 1200ml
仕様:コップ付き

まとめ

味噌汁を水筒に入れられるかについて見てきましたがいかがでしたでしょうか。味噌汁を水筒に入れる大きな特徴としては冷めにくいといった所があるのではないでしょうか。スープジャーは便利な容器ですが、一部のジャー以外は水筒に比べて保温力が落ちることがあるようです。ステンレスボトルは飲み口から熱が逃げることが多く、広い口のジャーは水筒に比べれば熱が逃げやすくなります。
ただどんな水筒でも味噌汁を入れても良いと推奨しているものはありませんので、使う際は自己責任となりますが、塩分に対応している他、早く食べて使い終わったらしっかりと洗うといったことを行えば問題はないと思います。
以上です。参考にしていただければと思います。

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