独特な甘みと少しの酸味が絶妙なおいしさを作り出すカルピス。お中元などでもらう原液カルピスを水で薄めて飲んだ思い出がある人も多いのではないでしょうか。原液から作るなら自分の好みの濃さのものを作れますが、アサヒ飲料のカルピスウォーターは甘ったるくはなく、さわやかでおいしい人気のペットボトル飲料の一つです。
そんな人気のカルピスですので、水筒に入れて持ち運びたいと思う人も多いのではないかと思います。なので、ここではカルピスは水筒にいれても大丈夫なのか、という疑問をカルピスがどのように作られているのかから、入れても大丈夫な水筒を見ていきたいと思います。
そもそもカルピスとは
カルピスは100年以上の歴史があり、日本発の乳酸菌飲料として大正11年に発売されました。誕生の経緯なども興味深いのですが、ここではそういった物語は省き、製造方法から何が入っているのかを見てみたいと思います。
カルピス®は、国産の生乳(殺菌などの処理がされていない搾ったままの牛の乳)を原料に、一次発酵と二次発酵の2段階の発酵プロセスによりつくられます。
まずは生乳から脂肪分を取り除いた脱脂乳に、独自の「カルピス®菌」を加えて一次発酵を行います。
一次発酵でできた「カルピス®酸乳」に砂糖を加えて二次発酵へ
カルピス®のきほん|発酵食品|みんなの発酵BLEND
カルピスを作るには牛乳を原料に、一回目の発酵ではカルピス菌を、2回目の発酵では砂糖をいれ、この2回の発酵プロセスにより作られます。カルピスには牛乳、カルピス菌、砂糖が含まれていることがわかりますね。牛乳、砂糖はおなじみだと思いますので、次はカルピス菌を見ていきたいと思います。
カルピス菌とは
カルピス菌は創業者の三島海雲が、モンゴルにて酸乳を研究する中で偶然発見したもので、現在では新たにカルピス菌を作るのは難しく、アサビ飲料でもカルピス菌の発酵液を継ぎ足して作っています。貴重なために戦時中は守るために疎開させていたということが言われますが、このカルピス菌とは何なのでしょうか。
カルピス菌は、乳酸菌と酵母からなる微生物の集団
カルピス®のきほん|発酵食品|みんなの発酵BLEND
カルピスを作るプロセスは、牛乳にカルピス菌を入れて2回の発酵を経て作られていました。一回目では乳酸菌が活動しやすい温度で発酵させて乳酸を作り出し、2回目では糖を加えて酵母が活動しやすいようにして発酵させています。
つまり2回の発酵はカルピス菌に含まれる乳酸菌と酵母を活動させているようです。一回目では乳酸菌を活動させて乳酸を作り、2回目では酵母を活動させて風味や香りのカルピスの原型を作り、その後砂糖や香料で味をつけています。酸っぱさは乳酸菌によるもので、独特な風味や香りは酵母によるものだそうです。
カルピスはこのカルピス菌の働きにより作られているのが分かると思いますが、特に乳酸菌はすっぱさを伴い、カルピスにはなくてはならない成分です。
カルピスに含まれる乳酸菌
乳酸菌はヨーグルトやチーズなどの発酵食品に多く含まれており、体に良いことは多くの人に知られていることですね。カルピスにも含まれていることが分かりましたが、乳酸菌とはどういったものなのでしょうか。
乳酸菌とは、特定の菌を表す名称ではなく「糖を利用して乳酸を大量に作り出す微生物の総称」です。
乳酸菌とは?乳酸菌の働き、乳酸菌を含む食品を紹介
作り方で見てきたように、カルピス菌を使った発酵により、多くの乳酸を作りだしているのがカルピスです。乳酸という名前や飲んだ時の甘みの中の酸っぱさからも分かるように、カルピスは酸性の飲料です。酸性の飲料はステンレスの水筒には入れることができないといわれますが、その理由を見ていきたいと思います。
酸性の飲料と乳飲料がステンレス水筒には入れられない理由
上記のことにより、カルピスは乳酸菌を多く含む酸性飲料であり、牛乳を原料としている乳飲料であることが分かると思います。この酸性飲料と乳飲料は水筒にいれることができないのですが、その理由を見てみたいと思います。
1,酸性の飲料
酸性の飲料が水筒に入れることができない理由は、金属を溶かす性質があるからです。
乳酸菌飲料などの「酸性の飲み物」を金属製の容器に入れると、飲み物の中に金属が溶け出すことがあります。
酸性の飲み物による金属の溶出に伴う中毒にご注意下さい
水筒にスポーツドリンクを長時間入れ、それを飲んだ子供が頭痛、吐き気を訴えた事件はいくつかあります。これは酸性の飲料が内部の金属を腐食させ、溶けだした金属が飲料に入り込み、それを飲み金属中毒を起こしてしまうためであります。特に免疫が弱い子供などは気をつけなくてはなりませんね。ステンレス水筒の説明書には、だいたいスポーツドリンクの他、乳酸菌飲料、オレンジジュースなどの果汁の飲料などの酸性の飲料を入れることを禁止されていることが明記されています。
2,生乳を原料としている
カルピスは生乳を原料とし、カルピス菌をいれて発酵させて作られています。牛乳は腐りやすく水筒に入れて持ち運ぶのには向いていません。水筒の中で温度があがり、腐ってしまった飲料を知らずに飲むのは体に当然悪いですよね。また、腐敗した飲料からはガスが発生してしまいます。ガスは内圧が上げ、きつく締めた蓋からガスが抜けずに貯まると爆発し、水筒の破損の原因にもなります。
カルピスを入れることができる水筒の条件は?
まず、カルピスは酸性の飲み物であるために金属系の水筒に入れるべきではない飲料です。ただ、水筒にはプラスチック素材のものもありますので、こちらを選択すれば金属ではないので大丈夫なように思えますが、カルピスは生乳を原料としています。なので、温度をキープできないプラスチックの水筒ではすぐに暖かくなり牛乳は腐ってしまいます。
問題が多いように見えますが、ステンレス水筒の内部はコーティングされているものが多いのですが、フッ素やテフロン・セラミックなどの強力なコーティングならば酸性の飲み物をいれることができます。これらのコーティングは撥水力が高いので汚れなども付着させにくいので、菌の付着も防ぎやすくなりますし、直接ボトル内部の金属に接触しないので、酸が金属を溶かすこともありません。
ただ、乳飲料である点に関しては、どの水筒にも入れないように注意が気があり、防ぎようがありません。なので、カルピスは水筒に入れることができない飲料になるのですが、ボトル内部に撥水性の高い強力なコーティングがされていて、かつ良く洗えば雑菌がボトル内に残ることも少ないでしょうし、保冷保温力の高い2重構造のステンレスボトルに短い時間で飲み切るならば、大丈夫ではないかと思います。
色々書いてしまったのでまとめてみます。
- 酸性の飲料は強力なコーティングが施されている水筒に入れられる
- プラスチックの水筒は温度をキープできないので乳飲料は腐る
- ステンレス2重構造の水筒は保冷効果も高く、飲料も腐りにくいが乳飲料をいれることは推奨されていない
- 強力な撥水性のあるコーティングは雑菌も残しにくい
- 乳飲料がどの水筒でも入れられないのは腐りやすいため
何より大事なのは乳飲料はどの水筒でも入れられないということです。ただ、ここではどうしてもカルピスを入れたい場合を考えて、カルピスが入れられる水筒の条件がこちらになります。
- 強力なコーティングで撥水力がある
- ステンレス2重構造で保冷効力がある
- 酸性の飲料を入れることができる
- 腐る前にすぐに飲み切れるサイズ
以上になります。
カルピスを入れるのに適している水筒
酸性飲料は入れることができても、カルピスは入れても良いということは推奨されている水筒はありませんので、参考程度に見ていただけたらと思います。
京セラのマグボトル
京セラの内部コーティングにセラミックを使ったマグボトル。撥水性が高いので酸性飲料を入れることができます。実際に使ってみましたが、撥水性は一番と思え、これだけ水を弾くのなら酸性飲料であろうと大丈夫と納得できます。匂いも付着しにくいので、コーヒーなども入れやすい特徴もあります。
ただサーモスなどに比べると保冷保温効力は弱冠弱い所もありますので、もしカルピスを入れた場合は早めに飲んだ方が良いです。
容量:350ml / 500ml
東亜金属 ノジェン セラミック ステンレス ボトル
東亜金属のノジェンシリーズの水筒も内部をセラミックでコーティングしたものになります。ノジェンシリーズは、ほっとするひとときを共にする水筒で、木製の蓋や描かれたイラストがとてもやさしく、リーフの他にもバード、アウル、フィッシュなどがあり、どれもかわいくおしゃれとなっています。
セラミックなので、撥水性があり汚れが付着しにくいといった特徴も持ち合わせています。
容量:200ml / 300
カフア コーヒー ボトル QAHWA
100万個を売り上げた人気の水筒カフアコーヒーボトル。こちらは内面にテフロン加工を施し、強力な撥水性が特徴。そのため匂いを付着させずコーヒーをいれるためのボトルとして人気があります。ただ酸性の飲料を入れても良いということは説明書に記載されてはいません。
実際に使って見て、これなら酸性飲料を入れても問題ないだろうという予想ですので、推奨するまでではありません。ただ、乳飲料を腐らせない程度の時間で飲めば大丈夫なのではないかと思います。
容量:200ml / 420ml
まとめ
いかがでしたでしょうか。カルピスは酸性飲料でありながら、腐りやすく水筒とは相性の悪い乳飲料ということもあり、どうしても水筒に入れてよいということにはなりにくい飲み物です。水筒を販売するメーカーとしては万が一を考えて、多少はオーバーに入れてはいけないとしていますが、結局は自己判断になります。
カルピスがどんな飲料で、水筒に入れることによってどういった危険があるのかを理解して、それを考慮して使うのは自己責任になると思いますが、ただ、いろいろな飲み物がありますので、無理にカルピスにこだわることもないのではないかと思います。
以上です。