水筒の形状はさまざまですが、ほとんどの水筒は内部の底まで手が届くことはなく、しっかりと洗うことができないために、漂白剤などを使って内部を洗うことも多いと思います。ただ、ステンレス水筒は塩に弱い特性があり、錆の原因になるために塩素系漂白剤は使うことはできません。
水筒を洗う漂白剤としてはアルカリ性・酸素系の漂白剤を使う必要があり、多くの酸素系漂白剤がある中でもオキシクリーンは人気があり、こちらを使うことが多いのではないでしょうか。
使い方などはネット上にも溢れていますので、ここでは洗う方法などは見ずに、オキシクリーンを水筒で使う上での注意点として、使ってはダメなパーツを見ていきたいと思いますので、参考にしていただけたらと思います。
オキシクリーンで洗ってはいけないパーツや素材
水筒には主にステンレスとプラスチック素材のものがありますが、まずステンレスボトルに関して、オキシクリーンで洗ってはいけない部分はパッキンとボトル外側になります。水筒は多くのパーツがあるわけではなく、基本的にはボトル本体とキャップ、パッキンの構成です。ワンタッチ式の水筒などはさらに飲み口がユニットになっていたり、ストロー付きなどがあり、種類によってパーツもふえますが、結論としてはどの水筒でもパッキンやボトル全体をオキシクリーンにつけ置きしたり、洗ったりはしない方が良いようです。
また、プラスチック・ステンレスボトルは素材に違いがありますが、パッキンの素材に関してはどちらも同じであり、こちらもオキシクリーンで洗わないようにしたいです。
- ステンレスボトルはボトル外側とパッキンはダメ
- プラスチックボトルもパッキンはダメ
この理由をこれから見ていきたいと思いますが、まずはオキシクリーンとはどういった漂白剤なのかを見ていこうと思います。
オキシクリーンとは?
オキシクリーンはアメリカ発の洗剤で、掃除や洗濯でも愛用している人も多く、水筒にも使うことができる漂白剤です。裏面に記載されている成分を見てみると、過酸化ナトリウム・アルカリ剤(炭酸ナトリウム)と記載されています。
炭酸ナトリウムは別名炭酸ソーダとも呼ばれ、主に炭酸ですが、アルカリ性が強く、脂肪酸を溶かす作用があるので、皮脂汚れやあか汚れを落とすことができます。また、過酸化ナトリウムは水に溶けると酸素が発生し、抗菌性・漂白作用・脱臭作用などを持つ物質となります。
この二つの成分により、汚れを落とすことができるクリーナーとなりますが、炭酸ナトリウムと過酸化ナトリウムを主成分としている漂白剤を酸素系漂白剤と呼ばれます。
次亜塩素酸ナトリウムが主成分の塩素系漂白剤と違い、酸素系漂白剤はステンレスが弱い塩成分がないために、ステンレスボトルにも使うことができるわけです。
この酸素系漂白剤オキシクリーンを使って水筒を洗浄している方も多いと思いますが、水筒に付属する説明書通りには酸素系漂白剤で洗ってよいパーツも書かれているので、こちらを参考に洗うことになると思います。
説明書もいろいろ
水筒を洗う場合には基本的に説明書に従って洗うことで問題はありません。ただ、水筒に使われている素材やメーカーの方針により、洗えるパーツや使える洗剤もそれぞれ違ってくる場合があります。
なので、メーカーにより説明書に記載されている洗い方も色々で、蓋もボトルもつけ置きはしてはいけないといった説明書や、蓋はつけ置きはできるといった説明所の違いがあり、しっかりと説明書を見てそれに沿った洗い方をする必要があるようです。
しかし、一番困るのはあまり詳しく書かれていない場合。そういった場合はオキシクリーンを使ってどう洗えばよいのか迷ってしまいますよね。ただ基本的にオキシクリーンなどの酸素系漂白剤で洗わない方がよい部分は共通していますので、その部分を見ていきたいと思います。
パッキンがダメな理由
パッキンは接続部につけて、隙間を無くし密閉性を高める機能があるパーツです。パッキンのない水筒も近年では多くなっていますが、蓋だけで密閉させるよりもパッキンがあった方がやはり密閉性は高められ、水筒内部の飲料を漏らさないために重要な部品になります。
パッキンと漂白剤
しっかりと説明書にお手入れ方法が書かれている場合は、パッキンはつけ置き洗いをしても良いというように書かれていると思います。しかし、酸素系漂白剤につけても良いということを明記されている場合は良いですが、そうではない場合はオキシクリーンにつけるのはやめておいた方が良いかもしれません。
酸素系漂白剤が原因でパッキンが劣化する場合もあるようです。
通常の使用であれば特に問題ありません。
水筒のゴムパッキン部分の硬化やひび割れなどの変質などは起こりませんか? | シャボン玉石けん
ただし、ゴムはもともと紫外線や油分、水分、酸、熱、アルカリに対して弱い素材なので、使用年数が長くなることであらゆる要素が重なり劣化します。
酸素系漂白剤はアルカリ性であり、酸素系漂白剤の使用がきっかけで硬化・ひび割れ等の変質が起こることがございます。
オキシクリーンは酸素系漂白剤なので、やはり硬化・ひび割れ等の変質が起こる可能性のあるパッキンは、長く漬けるような洗い方は避けた方がよいのかもしれません。
ゴムの特性
また、パッキンはゴムで作られていますが、シリコーンゴム(Q)フッ素ゴム(FKM)クロロプレンゴム(CR)ニトリルゴム(NBR)エチレンプロピレンゴム(EPDM)四フッ化エチレン樹脂(PTFE)など種類が豊富で、それぞれに特性があります。
参考:密閉に欠かせないパッキンの材質と特性
しかし、実際には自分が使っている水筒がどのゴム素材のパッキンなのかは説明書にも載っていないので分かりません。オキシクリーンなどの酸素系漂白剤はアルカリ性なのですが、フッ素ゴムなどは耐薬品性にあまり強くなく、アルカリ性にも弱いようです。
参考:フッ素ゴムやフッ素ゴム接着剤をお探しの方【高品質フッ素ゴム特性】
購入した水筒の説明書にパッキンも酸素系漂白剤で洗っても良いということが明記されていれば、大丈夫な素材で作られたパッキンなのかもしれません。しかし、ゴムで作られている以上、アルカリには弱い素材であり、やはりオキシクリーンにつけない方が良いのかもしれません。
パッキンに関しては以上になりますが、次はボトルに関してみていきます。
ボトルがダメな理由
オキシクリーンでボトル本体を洗う場合は内部だけにし、全体をつけて洗うことは辞めた方が良いです。つけ置きで洗えば、表面の汚れも落ちきれいになりますが、塗装が剥げる・保護シールが剥がれるといった問題があります。
塗装が剥げる
一つのステンレス水筒を長く使っている人は経験があると思いますが、割とすぐに塗装が剥げてしまい、みすぼらしい姿になってしまうといったことがあると思います。ステンレス水筒の塗装は剥げやすい上に、オキシクリーンに付けてしまうと塗装を浮かせてしまい、さらに剝がれやすくなるようです。
塗装が剥がれている部分から入り込んで塗装を浮かせてしまう可能性があるため、塗装には使用しないほうがよいでしょう
オキシクリーンは洗濯に大活躍!シミ抜きや除菌、悪臭も落とす簡単な使用方法
ステンレスは鉄とクロムを混ぜた合金から作られており、クロムは酸素と結合し酸化クロムと言う「不働態被膜」を作り出します。この不働態被膜が塗装を難しくさせているのですが、しかし、ステンレス水筒の多くは塗装が剥がれないように上からコーティングされています。
水筒のコーティングとして多くで施されている有名な所では、マット感が出ておしゃれになるパウダーコーティングがありますが、こちらは耐熱性が低いといったデメリットもあります。
デメリットとしては、耐熱性が低いのと、耐ガソリン性に多少の弱さがあります。
入手出来ない部品への「パウダーコート/紛体塗装」という選択
なので、お湯に溶かして使うオキシクリーンではコーティングが剥がれる恐れがありますし、そもそもステンレスに施された塗装は剝がれやすいので、ボトルすべてを付けて洗うことは避けたい所です。
ボトル底の保護シール
また、ステンレス水筒のボトル底にはシールが貼ってあり、これはただのシールではなく保護シールです。ボトルの真空処理をここから施した溶接部分がある場所で、そこに保護シールを張って守っており、剥がすと保冷保温効果がなくなってしまう原因にもなるようです。
水に浸してしまうとはがれやすくなってしまいますので、つけ置きはしない方がよく、オキシクリーンでつけてしまうとより剝がれやすくなってしまいます。
プラスチックはダメ?
プラスチックボトルは耐熱温度が弱いものがあるので、お湯に溶かしたオキシクリーンを使うには気を付ける必要があります。
オキシクリーンをプラスチックボトルに使うと溶けるといったことも言われたりしていますが、オキシクリーンの説明書には使ってはいけない素材が書かれており、その中にプラスチックは入っていません。
よくある質問|オキシクリーン(酸素系漂白剤)│グラフィコオンラインストア
- ウール・ウール混紡・シルク・シルク混紡などの水洗いできない繊維製品
- 革
- 宝石類・金属全般・金属製の付属品・ラテックス塗装
- ジュート・チーク材・仕上げ木材等
プラスチックボトルにオキシクリーンを使ってはいけないことはなく、オキシクリーンが原因で溶けることはないと思われます。ただプラスチック水筒には耐熱温度があり、しっかりと確認しなくてはいけません。
オキシクリーンを使うときは、必ずお湯で洗い、全体を浸すことが重要です。お湯は最高でも60℃くらいにします。
オキシクリーンで靴をきれいに!漬けるだけで誰でも簡単!
オキシクリーンを使うにはお湯を使うことで、効果を最大限に発揮できるようですが、プラスチック水筒に使われているプラスチックもさまざまな種類があり、水筒に使われているものとして、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、飽和ポリエステル樹脂、トライタンなどがあります。中には耐熱温度が低く、熱湯は不可といったものもあります。
耐熱温度:本体70度(熱湯不可)
スケーター(Skater) 直飲み ウォーターボトル 200ml 水筒 キャスミン レッド PDC3-A
70度まで耐熱温度があるので、60度のお湯でも問題ないとは思いますが、あまり熱に強くないといったことなので、やめておいた方がいいのかもしれません。また、プラスチック水筒にはそもそも熱湯は事態がダメといったタイプもあるので、まずは耐熱温度をしっかりと確認してオキシクリーンを使っていきたいです。
まとめ
以上です。いかがでしたでしょうか。漂白剤として人気のオキシクリーン。茶渋などもきれいに落ち、ぴかぴかにしてくれるので水筒に使う酸素系漂白剤の中でも特に優秀なのだと思いますが、ここではパッキンとボトル外側、ケースによりプラスチックボトルはオキシクリーンで洗わない方が良いとさせていただきました。
ボトル底を洗うには棒付きスポンジか漂白剤を使うしかないので、オキシクリーンを使うにしてもパッキンもボトルの外側、また底が濡れないように食器洗い洗浄剤を使って洗うのが良いのではないかと思います。
せっかく購入したボトルですので、綺麗に清潔に、さらに長持ちするようにオキシクリーンを使っていきたいですね。参考にしていただけたらと思います。