喉にシュワっと爽快感のある炭酸飲料。コーラなどのように、甘みのある中に炭酸が加わることでより飲料もおいしくなることがありますが、最近では血行促進や美肌の効果がある炭酸水なども人気があります。当然、水筒に入れて持ち歩きたいと思うこともあるのではないかと思いますが、炭酸飲料は一般的な水筒にはいれることができないと言われています。
ここではその入れられない理由や、本当に入れられないのか、入れられる水筒は何かを見ていきたいと思います。
炭酸がステンレス水筒に入れられない理由
炭酸を水筒にいれられない理由は2つあります。
一つ目は炭酸ガスがボトルの内圧をあげてしまうことになります。炭酸飲料は炭酸ガスを発しており、密閉されたボトル内部にはガスの逃げ場がなく貯まりつづけることで内圧を挙げてします。水筒はキャップをして持ち歩ける容器で密閉性が高いボトルであり、そのため、キャップを破損させたり爆発を起こしてしまうことがあり、水筒に入れることは推奨されていません。
また、二つ目の理由としては炭酸飲料は酸性の飲み物であるということです。酸性の飲み物はレモン水やスポーツドリンク、コーラなど多くあり、これらの飲料をボトルに入れると酸性がステンレスを溶かしボトルの飲料に溶出してしまうといったことがあります。
→炭酸ガスが内圧をあげボトルを破損させる
→酸性飲料のためボトルのステンレスを溶かしてしまう
以上の2つの理由により入れることができないと言われていますが、まずは炭酸とはどういったものなのか特徴を見ていきたいと思います。
炭酸とは
二酸化炭素が水に溶けた状態を炭酸と呼びます。二酸化炭素は状態によりいろいろな名前で呼ばれることがあり、気体の場合では炭酸ガスと言われ、不燃性で空気より重く、水に溶け込みやすい特徴があります。炭酸ガスの入った炭酸飲料は飲むと爽快感がありおいしくなり、飲料に溶け込みやすいために多くの炭酸飲料が作られ、コーラやレッドブルなど人気の炭酸飲料の種類も豊富です。
この炭酸ガスは液体に入れられる量が決まっており、入りきらないものは空気中にガスとして出ていきますが、液体を低い温度にしてさらに圧力をかけることで多くの炭酸ガスを液体の中に閉じ込めることが可能となります。炭酸ガスは少しの衝撃でも液体と分離しやすい特徴もあり、振ったりすると急激に分離されて溢れるといった状態となります。
また、水に溶け込みやすい特徴の他、炭酸が水に溶けると水素イオンと炭酸水素イオンに解離し、水素イオンが発生することで水が酸性に傾くので、炭酸飲料は酸性になるのも特徴です。
以上の炭酸の特徴を踏まえ、酸性飲料はステンレスには入れられないといった問題を詳しく見ていきたいと思います。
炭酸飲料は本当にステンレス水筒にいれられない?
炭酸の問題として酸性飲料がステンレスを溶かすといったことと、炭酸ガスがたまるといった二つがあり、まずはステンレスを溶かすといった面を見ていきたいと思います。
酸性飲料は金属を溶かし、その溶けだした飲料を飲むことで金属中毒になると言われています。
金属製の容器に酸性の飲み物を入れると、銅などの金属が溶け出して中毒を起こすことがあります。金属が溶け出した飲み物を摂取すると、頭痛・めまい・吐き気・下痢などの食中毒症状があらわれることがあります。
金属溶出による食中毒にご注意! – 大阪府
しかし、炭酸飲料はpH4.4です。このpH(ペーハー、ピーエイチ)とは液体が酸性なのかアルカリ性なのかを表す尺度で、pH7が中性でそれよりも下の値になるほど酸性値が強くなります。pH3からは人間が酸味を感じれる値で、乳酸やクエン酸などは3~2の値を持ち強い酸性ですが、炭酸のpH4.4というのは弱酸性であり、金属を溶かすほどの酸性値ではないようです。
さらにステンレス水筒にはコーティングが施され、金属がむき出しではないのでpH4.4の弱酸性ならば中毒を気にする必要はないのかもしれません。
ただ、それでも金属を腐食すると言われている場合もあります。
炭酸ガスは化学名を二酸化炭素という。無色、無臭の気体で水に同体積溶解し、弱酸性は呈する。水分を含む二酸化炭素は金属を腐食する。酸素が共存したり、高圧になると腐食は更に激しくなる。
炭酸ガス
炭酸ガスが酸性なので金属を腐食するのは確かようですが、pH値を見ると弱い酸性だから問題ないと考える人とそれでも危険だと考える人がいるようです。ただ、水筒内部はコーティングされているものがほとんどですので、ステンレスがむき出しのものでなければ個人的には大丈夫なのではないかと思われます。
しかし、いずれにしろ、酸性であることで問題になるのは金属を溶かす可能性があるからなので、プラスチックのボトルならばペットボトルのように溶かす心配はないので問題はないのではないでしょうか。
また、炭酸ガスが溜まり、内圧をあげてしまうからといった理由で入れられないのはステンレスであってもプラスチックであっても同じように思いますが、プラスチックのペットボトルでは炭酸入りの飲料を発売されています。これはどういった理由なのか、プラスチックのボトルならば炭酸を入れることができるのかを見ていきたいと思います。
プラスチックのボトルなら炭酸をいれることができる?
ペットボトルで販売されている炭酸飲料は炭酸ガスが逃げない状態にしています。購入して炭酸ガスが入っていなかったら炭酸飲料の意味がないですよね。圧力を高めることで炭酸ガスは飲料内に留まってくれますが、ペットボトルで販売されている炭酸飲料がボトル内にガスが溜まらないのは、ペットボトルの形状に秘密があるようです。
炭酸飲料の容器には、炭酸ガスの圧力に耐えることが求められます。そのため、容器を丸い筒状にして圧力を均等に受けるようにし、さらに一定の厚みを持たせています。また、底の形も特徴的で、5つの半球体の突起があり、花びらのようになっています。これは「ペタロイド(花弁)」とも呼ばれ、ガス圧に耐えるための理想的な形状とされています
炭酸飲料のペットボトルはどうして丸いの?
しかし、一般的な水筒ではこのように圧力に耐えられるような設計にはなっていませんので、炭酸飲料を入れてしまえば炭酸ガスがボトルの内圧をあげて、キャップがはじけ飛ぶようなことが起こってしまいます。
実際にザバスのプロテインシェイカーにコーラを入れて蓋を閉め、何時間か経過した後に蓋を開けた瞬間にすごい破裂するような音がしました。壊れることはなかったのですが、もう少し長い時間密閉していたらどうなっていたかは分かりません。
しかし、同じプラスチックのナルゲンボトルに入れた時はこういったことは起こりませんでしたので、密閉性が高い水筒とそこまでではない水筒で炭酸ガスの溜まり方が違うようです。
ザバスの場合はシェイカーなので、振ることを前提としているために通常の水筒よりも密閉性が高いのかもしれません。なので、プラスチックの水筒ならすべてが炭酸を入れられるわけではなく、密閉性しだいと言えるのではないかと思います。
いづれにしろやはり一般的なステンレス・プラスチックの水筒に炭酸を入れるのは、炭酸ガスがたまり危険な状態になるためにやめておいた方がいいようです。
ここまでをまとめてみます。
酸性がステンレスを溶かす問題
→酸性飲料はステンレスを溶かすが、炭酸はPH値も低く、またステンレスボトル内部はコーティングされているため、問題はないように思える。
→プラスチックボトルを炭酸が溶かすことはない。
炭酸ガスがたまる問題
→水筒は炭酸ガスが内部に溜まるので一般的なステンレス・プラスチックボトルには炭酸は入れない方が良い。
以上になりますが、しかし、近年は炭酸をいれることができるステンレスの炭酸ボトルがリリースされています。やはり炭酸飲料を飲むならいつでも冷たい方が良いので、保冷保温効力の高いステンレスを選びたい方がほとんどだと思います。そういった方むけに、ステンレスで炭酸を入れることができる水筒はいくつかリリースされています。
炭酸ボトルとは
炭酸飲料ボトルはサーモスやタイガーなどの一部のメーカーからリリースされている炭酸をいれることができるステンレス水筒です。一般的な水筒と違い、ボトル内で放出され続ける炭酸ガスを対策する仕組みがあります。
キャップのガス抜き
ガス抜きはキャップを外す時に、内部に溜まった炭酸ガスが一気に噴き出さないように先に圧力が抜ける仕組みです。経験がありますが、蓋を開ける時に溜まった圧力が飲み口から一気に放出されると、蓋を力で持ち上げるのでかなり危険です。なので、蓋を回すと飲み口ではない所から圧力を放出する仕組みが必要になります。
圧力が高まると自動でガスが抜ける
ドリンクに溶け込んだ炭酸は、温度の変化や衝撃により常に炭酸ガスを放出しておりしっかりとキャップを閉めたボトル内では炭酸ガスがたまり圧力が上昇しています。その上昇した圧力を感知して、自動で抜く仕組みがあります。
炭酸飲料を長い時間入れて、逃げ道がないようにしっかりとキャップがしまっていると、炭酸ガスたまり過ぎて圧力も上昇し、キャップを開けようとしてないのに圧力の力で押し上げてしまう可能性もあるので、自動で逃がす機能が必要になります。
上記のような機能をもった水筒は少ないですが、その中でもタイガーを始めサーモスなどの大手メーカーもリリースされているので人気の炭酸ボトルを2つ紹介したいと思います。
人気の炭酸飲料ボトル
炭酸飲料ボトルはまず初めにタイガーが開発しリリースし、人気が出たのでその後サーモスなどが後追いでリリースした経緯があります。
タイガー 真空断熱炭酸ボトル480ml MKB-T048WK
キャップの取っ手が特徴的なタイガーの炭酸ボトル「MKB」。タイガーではもともとMTAシリーズで炭酸を入れることができるボトルが解禁されましたが、次に炭酸ボトルとしてリリースされたのがこちらのMKBです。
見た目もスマートで普通のステンレスボトルと変わらなくなり、軽量スリムなボトルになりました。炭酸はもちろんですが、食洗機にも対応しているのがうれしい所。内部はスーパークリーンPlus(プラス)加工で、他の炭酸ボトルに比べて炭酸が気化しにくい特徴もあるとのことです。
容量:360ml / 480ml / 600ml
サーモス 保冷炭酸飲料ボトル「FJK」 500ml
サーモスからリリースされている炭酸ボトル「FJK」。こちらもスマートで持ち運びしやすい形状です。炭酸を放出している機能がしっかりとしているためか、炭酸の抜けが早いといった口コミも見られますが、ある程度は仕方がない所で安全に使えるといった点と、冷たい炭酸飲料を長く飲めるといったメリットを楽しみたい水筒です。
なにより他の炭酸ボトルにはない2000円で購入できる安さもうれしい所です。
容量:500ml / 700ml / 1L
まとめ
いかがでしたでしょうか。炭酸飲料を野外でも長い時間冷たいままで飲みたいといった場合は、ペットボトルや缶に入ったものでは味わうことはできませんので炭酸飲料対応ボトルが必要になります。あまり多くの炭酸ボトルはありませんが、やはり炭酸をボトルにいれることは危険も伴いますので、信頼性の高い大手ボトルメーカーのものが良いのかもしれません。いつでも冷たい炭酸飲料を楽しむのは良いことですが、炭酸飲料には糖分も多く含まれるので飲み過ぎないようにはしたいですね。
以上です。参考にしていただけたらと思えます。