ステンレスの水筒には炭酸飲料、スポーツドリンクなどの酸性を含む飲料は、金属を溶かす性質があることから入れることができませんでした。しかし、近年はステンレス製でありながら炭酸飲料を入れることができたりするものも増えており、そういった水筒には内部にフッ素コートが施されていることが多いです。
このフッ素コートですが、ポリテトラフルオロエチレン(Poly Tetra Fluoro Etylene)、頭文字をとってPTFEなどと表記されたりしています。これが水筒の詳細情報などに乗っていると、どういったものなのか知りたくなることもあるのではないでしょうか?
なのでここではこのフッ素コートについて、分かりやすく解説していきたいと思います。
フッ素コートとは
水筒におけるフッ素コートとは、水筒内部の表面にフッ素樹脂を付着させて覆うコーティングを行うことをいいます。日本ポリマーのサイトにはフッ素樹脂を下記のように説明されています。
フッ素樹脂はフッ化炭化水素の略であり、名前のごとく、フッ素を含有する樹脂のことです。
引用元:nihon-polymer.co.jp
ここでは自分のように化学的な知識がなくても理解できるように、簡単に分かりやすく説明したいので、色々とばしますが、フッ素樹脂の樹脂とはそもそもプラスチックの意味。自然からできる天然のものと、石油や食物繊維などから合成して作られる化学合成の合成樹脂に分けられ、フッ素樹脂は合成された樹脂になり、つまり、フッ素樹脂は化学で合成して作られたフッ素を含んだプラスチックということになります。
そのプラスチックの薄膜を、ボトル内部に付着させて覆うことをフッ素コートを施した水筒と言います。
テフロンなどの種類
フッ素樹脂の原料は蛍石で、1938年に米国デュポン社のプランケット博士がガス実験の際に偶然に発見されました。これをテフロン「PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)」と言い、フッ素コートの代表的なものになります。
他にも数種類の化学構造式を持った樹脂があり、フッ素樹脂を製造している他の企業もブランドとして展開しておりFEP、PFA、シルクウェアなどがあります。
どれもフッ素樹脂を含んでいながら要素や構造の違いがあり、中でもテフロンは高温や薬品に浸しても極めて安定した特性を示しているとのことで、多くの製品に使われる要因となっているようです。
このフッ素コートを使うメリットは多く、フライパンや車のボディなど多くのものに使われていますが、次は人気なコーティング剤となった多くのメリットを見ていきたいと思います。
水筒におけるフッ素コートのメリット
フッ素コートには様々な種類がある事が分かりましたが、水筒にはPTFEが使われることが多いようで、この樹脂の特性を見ていきたいと思います。
フッ素樹脂は特異的な表面特性として非粘着性、耐酸性、低摩擦性、撥水撥油性などに加えて耐熱性を有する
引用元:fluorotech.co.jp
これらの特性を水筒の内部コーディングした際に、メリットとなるものを見ていきたいと思います。
撥水撥油性
撥水性は水を弾く性質のこと。水筒内部の水を弾くことで掃除が楽になり、また匂いなども付着しにくくなります。
耐酸性
酸性の飲料は金属を溶かすため、ステンレス製の水筒に入れることができませんが、フッ素コートをすることで酸性に対する耐性が上がり、スポーツドリンクなどの酸性飲料も入れることができるようになります。
耐熱性
フライパンに使用されているように、樹脂の中でも特に高い耐熱性があります。200度以上に耐え、また、マイナス200度にも耐えると言われています。ただ水筒では安全面を考えて、フッ素コートされていてもそこまでの温度の飲料をいれることを問題ないとしている水筒は見たことはありません。
非粘着性
非粘着性があるとフッ素以外の物質が付着しにくくなります。テープなどの粘着性のあるものでもくっつきにくくなるため、水筒内部に汚れが着きづらくなり清潔に保ちやすくなります。
このように、水筒には体に入る飲料を入れているので、内部を清潔に保つことは重要ですが、内部フッ素コーティングをすることで清潔に安全面で向上させられることがわかりますね。
フッ素コートが施されているおすすめの水筒
フッ素コートを採用しているメーカーはいくつかあるとは思いますが、その中でも象印が採用していてリリースしているボトルはとても質の良いものになっているの紹介いたします。
象印マホービン(ZOJIRUSHI) シームレスせん水筒 SM
象印のシームレスせんを採用したSMシリーズの水筒。こちらはとても人気のある象印のロングセラーであり、容量・カラー・タイプなどの多くのバリエーションを展開しているので、自分にマッチしたものを見つけることができる魅力があります。
もちろんシームレスなのでパッキンがなく、手間が少なく、洗浄や管理するのも楽な特徴を持ち、また内部もラクリアコートといったフッ素コートを採用しており、実際に使っていましたが撥水性はかなり高いです。
容量:250ml / 350ml / 360ml /480ml / 600ml / 700ml
象印マホービン キャリータンブラー
こちらも象印らしいシームレスせんを採用した水筒になりますが、ただタンブラーとしても使える仕様となっているボトルです。タンブラーとしての広口で飲みやすい特徴を持ちながらも、バッグにいれて持ち運びもできる水筒としても特徴を併せ持ち、オフィスなどに持ち運びゆったりと飲料を楽しむことができます。
もちろん内部はフッ素コートのためにしっかりと撥水性が高く、パッキンもなく、さらに広口なので毎日の洗浄も楽に行うことが可能です。
容量:300ml / 400ml / 500ml / 650ml
象印が採用しているために、質の良いボトルを選択することができるのもメリットではありますが、、しかしフッ素コートは良いことばかりではなく、デメリットもありますので次はマイナス面も見ていきたいと思います。
デメリットなど
保温保冷力な高い魔法瓶で知られるタイガーでは「NO・フッ素コート」を掲げていられます。
フッ素は永遠の化学物質とも呼ばれ、分解されることがほとんどなく、環境に残ってしまうことが世界中で問題になっています
引用元:tiger.jp
フッ素樹脂の問題は永遠に分解されないことです。自然界で分解されないので水を汚染してしまいます。2000年にアメリカの工場からPFOAが漏れ、付近の川を汚染してしまう事件が起こり、残留性有機汚染物質の減少を目的とするストックホルム条約で規制対象物質として指定されるようになりました。
この有機フッ素化合物PFOAとは、PTFEを生成する際に意図せずに生み出されてしまう物質ですので、フッ素コートを施した水筒もPFOAを増やすことに助長しているので関係があります。
環境への悪影響は分かりますが、分解されない物質ということで内部にコーティングされている水筒では特に人体への影響が気になるところですが、
人体への影響は小さいとされています
引用元:nhk.or.jp
高温でも溶け出さないために内部にフッ素が溶け出すことはないと思いますし、人体への影響は小さいようですが、少し気になるところではありますね。
まとめ
以上、フッ素コートを水筒内部に施すことで多くのメリットがあることが分っていただけましたでしょうか。利点をまとめますと、
- 酸性の飲み物もいれることができる
- 汚れが付着しにく
- 撥水性が匂いの付着を防ぎ、水をはじいて洗いやすくなる
- 耐熱性が高いので、熱いものもいれやすくなる
などがありますが、一方デメリットとしては自然界に永遠に分解されないPFOAを生み出し、環境を悪化させてしまうということがありました。
増え続けるプラスチックゴミ問題から、ステンレスの水筒を使う人も増えていますが、ステンレスの水筒内部には何らかのコーティングをされ、それがフッ素であることも多く、環境問題に関心がある人も知らず知らずのうちに使ってしまっていることがあると思います。
タイガーのように脱フッ素コートを掲げているメーカーがあるように、ストックホルム条約で指定された物質ですので、今後改善されていくことを期待したいですね。