近年では大きな環境問題の一つとして、増え続けるプラスチック問題があります。そのため脱プラスチックが注目をされていますが、プラスチックの問題は環境によることだけではなく、人体に悪影響があるBPAという化学物質が含まれていることにもあり、「脱プラ」が進んでいるもう一つの要因となっています。
このBPAですが、水筒を選んでいると「BPAフリー」という言葉が記載されているのを見たことがある方もいるのではないでしょうか。知らない方も、なんとなく知っているという方もしっかりと内容を理解していないこともあると思います。
ここではそのBPAフリーとはなんなのか。そしてこのBPAフリーのおすすめ水筒を紹介していきたいと思います。
BPAフリーとは
BPAフリーとは、一言で言うと「ビスフェノールA」が含まれていないことを現しています。つまりBPAとはビスフェノールAという化学物質の略称で、BPAフリーと書かれた水筒はこのビスフェノールAがプラスチックに含まれていないことを約束しているということです。
ではこのビスフェノールAとはいったい何なのでしょうか。
ビスフェノールA(BPA)について
ここからはビスフェノールA(BPA)とはどういったものなのか、人体への影響、今後の対応などを詳しく見ていきたいと思います。
ビスフェノールA(BPA)とは
ビスフェノールAは、主にポリカーボネート、エポキシ樹脂と呼ばれるプラスチックの原料
ビスフェノールAについてのQ&A|厚生労働省
ビスフェノールAはポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂の原料となり、耐久性、耐熱性などにすぐれているため多くの製品に使用されており、主にポリガネート樹脂からは水筒や哺乳瓶などのプラスチック製品に、またエポキシ樹脂からは缶詰の内面コーティングなどに使われています。
多くの製品に使われているために、私たちに取っ手は身近な存在となっており、口に含む容器などにも使われていますが、少し問題もあるようです。
ビスフェノールAの懸念点
6歳以上を対象にした米疾病管理センターの調査では、なんと93%の人の尿から測定可能な量のBPAが検出されたという発表があるように、ビスフェノールAが含まれた食品容器から、食品や飲料に移行し、人間の体内へ取り込まれていました。
飲食容器の製造に使われて、当たり前のように人の体内に入っていたのがビスフェノールAで、このビスフェノールAが体内に侵入すると、人体にどの影響があるか気になる部分でもあります。
ビスフェノールA(BPA)の人体への影響
1996年『奪われし未来(Our Stolen Future)』*の出版を契機に、日本国内でも大きく取り上げられました。環境省、厚労省等では内分泌かく乱化学物資(いわゆる環境ホルモン)問題として調査研究を開始しました。ビスフェノールAもその化学物質の一つです。
ビスフェノールA問題についてのQ&A
ビスフェノールが環境ホルモン問題として研究をはじめたのが1996年になり、動物の胎児や子供に対し、神経や行動、乳腺や前立腺への影響が確認されました。
しかし、現在ではまだ人にどこまでの影響があるかは不明な点もありますが、胎児や乳幼児に関してはビスフェノールAを無効化する代謝能力が低く、微量であっても影響が出ることが分かっています。
そのため、妊娠中の女性や乳幼児に関しては、BPAフリーではないプラスチックの水筒を使う場合は特に気を付けなくてはいけません。
また、ビスフェノールAは現在ははっきと分かっていない部分があるとはいえ、環境ホルモンの一種であるので、将来的な環境ホルモンとしての影響は考えなくてはいけないと思います。
人への影響という面に絞ったとしても、若い男性の精子数の減少、女性の子宮内膜症者の著増、生殖器ガン、子供の喘息とアトピーの増加、注意散漫多動症等々多岐に亘っている
「環境ホルモンの諸問題」 | 保健・化学物質対策 | 環境省
環境ホルモンは上記のように人体への悪影響は高く、ビスフェノールAに関しては現状では大人に対しての問題がはっきりとは確認できていないとはいえ、危険な環境ホルモンの一種として、後々影響が確認できる可能性もありますので、やはり避けなくてはいけない化学物資であるのではないかと思います。
ビスフェノールA(BPA)に関しての対応
そんなビスフェノールAに対して、個人の対応の他に国としてはどういった対応しているのかを見ていきます。
厚生労働省としては、動物でのビスフェノールAの低用量影響の問題を受けて、新たな対策が必要かどうか検討するため、ビスフェノールAの低用量曝露がヒトの健康に及ぼす影響について、食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼しました。その結果を基に食品衛生法における規制の見直しなどの必要な対応を行うこととしています。
ビスフェノールAについてのQ&A|厚生労働省
厚生労働省のホームページを見る限りでははっきりと法律で規制していくといった対応をしているわけではないことが分かります。ただ、厚生労働省が管理する食品衛生法では規制が決められているようです。
・材質中の量=500ppm以下
https://jccu.coop/food-safety/qa/qa02_03.html
・製品から溶出する量=2.5ppm以下
海外などでは幼児向けの製品にビスフェノールAの使用を法律で禁止している国もあるようですが、日本では禁止はせずに上記の規制があるといった程度のようです。
法律で禁止してほしいとは思いますが、どれだけ影響があるのか確信できるデータもないので仕方ないかもしれないですね。しかし、日本ではBPAを少しでも体内に入れたくないと思う人は自分で対処する必要があり、水筒に関してはBPAが使われていないフリーのものがあるので、そういった水筒を紹介していきたいと思います。
BPAフリーのおすすめ水筒
ビスフェノールAはプラスチックを作る原料なので、プラスチックの水筒に含まれる可能性があり、一部アルミ製にも含まれているようですが、ステンレスに含まれる化学物資ではありません。BPAフリーをアピールしているステンレス製水筒もありますが、当たり前としかいいようがないので、ここではプラスチックの水筒に絞って、BPAが使われていないボトルを紹介していきたいと思います。
nalgene(ナルゲン)の広口0.5L Tritanボトル
1949年研究用装備品として製造されたナルゲンボトル、高品質で軽量なボトルは研究用としてつかうだけでなく、1970年代から一般の人たちからも使われるようになりました。BPAを含まず、環境にやさしいトライタン素材もナルゲンはいち早く採用してシリーズ化。トライタンといえばナルゲンとも考える人も多いかもしれません。
こちらのピックアップした水筒ももちろんトライタン製ですが、ナルゲンの魅力は独自のキャップシステムにもあります。キャップと本体のねじ山がしっかり食い込む仕様は他のボトルにはない密閉性を実現しています。
サイズ:-
容量:0.5L
参考:ナルゲンのトライタンボトルを使って見た感想。耐久性があり漏れず、パッキンがなくて楽
KINTO (キントー)の ウォーターボトル
キントーの人気ウォーターボトルもPCT樹脂を使ったBPAフリーの水筒です。ガラスのような透き通るような美しさがあり、おしゃれで多くの人愛されさていますが、持ち運びに便利な蓋の取っ手、少ないパーツ、飲みやすく広い開口部など機能性の高さも見逃せません。特に耐熱性が高く、食洗器にいれて洗うことができるのもうれしいポイント。
トライタンではないですが、傷がつきにくく割れにくい高品質な水筒になっているようです。
サイズ:φ70 x H200 mm (500 ml)
容量:300ml / 500ml /950ml
キャメルバックのTritan Renew (トライタンリニュー)ボトル
トライタン素材を作り出したイーストマン社による新しいトライタン、認証リサイクル材料含有率50%の高性能コポリエステル「Tritan Renew (トライタンリニュー)」を使ったキャメルバックのエディプラス。
トライタンと同じように高品質なBPAフリー素材を使って作られたボトルは、ストローを起こすワンアクションで飲料を飲むことができ、ストローでありながら横にしても漏れることがない独特なキャップシステムも特徴的。デザインもおしゃれですし、カラーバリエーションも豊富です
サイズ:24.5 × W 9.8 × D7.8 (cm)
容量:750ml
キャプテンスタッグ(CAPTAIN STAG) のライスメモリ付スポーツボトル
職人の町として金物産業が栄える新潟県の三条市の地に本社を構えるパール金属のアウトドア部門として1976年スタートしたキャプテンスタッグ。コスパの良いアウトドアグッズなど、キャンパーから人気ブランドとして定着しています。
水筒もキャンプには欠かせないアイテムでありますが、こちらのスポーツボトルは飲料を入れるだけでなく、お米の量を測れるライスメモリ付。いかにもキャンプ時に有効に使えそうな、キャプテンスタッグらしいアイテムとなっています。
BPAフリーも魅力ですが、機能性の高さのわりに価格も安いのも良いですね。
サイズ:78×105×高さ265mm(500ml)
容量:500ml/550ml/650ml/1000ml
WEMUGのミニ ウォーターボトル
2010年・香港にて一人の女性により創業されたWEMUG。クラシックなスタイルとミニマリズムをイメージしたデザインの、おしゃれなボトルを多くリリースしているブランドです。
こちらの「mini smile」は350mlの手のひらサイズに、ボディにスマイルプリントがされた可愛らしいプラスチックボトル。密閉性が高く衛生的なシリコンフリーキャップ、素材には高品質でBPAフリーのトライタンを採用され、愛らしい外観からは感じることができない高い機能性が魅力的です。
サイズ:-
容量:350ml
以上はBPAフリーのものになりますが、BPAは入っていないとメーカーがうたっているだけで万が一BPAが含まれていたりする可能性もあるかもしれません。その場合でも高温や酸性の飲料をいれたり、または経年劣化やひびなどがあったりするとBPAなどは溶け出しやすくなりますので、プラスチックの水筒を使う上で気を付けておきたいところです。
BPAフリーなら安全なのか
BPAフリーならばビスフェノールAが含まれていないので、とりあえずは安心と思われるかもしれませんが、代替え物質としてBPS(ビスフェノールS)やBHPF(フルオレン-9-ビスフェノール)といった物質が使われていることがあります。
これらはBPSと同じように未知な部分もあり、一部では生殖関連の機能に影響を与える可能性があるとも言われていたりします。なので、できればこれらの物質が使われている水筒を使う方が良く、品質表示にある材料などを確認することをおすすめします。
まとめ
以上です。いかがでしたでしょうか。BPAは大人には影響は確認できていないわけですが、幼児や妊婦には影響があるということは、確実に人体にとってはないほうが良い環境ホルモンです。人によると思いますが、特に代謝が弱い人などは気を付けたほうが良いのかもしれませんね。
基準があるようなので、人体に影響があるほどのBPAが飲料内に溶け出す製品はないとは思いますが、なるべくなら避けて、BPAフリーで代替え物質も使われていない水筒を選びたいです。参考にしていただけたらと思います。